自宅や建物の外壁がALCという場合に、ALC外壁がすでに目立った劣化を見せていない状態であったり新しく建てられたばかりであれば、すぐに塗装をする必要はないかもしれません。ただし、定期的な点検と必要に応じた塗装工事やシーリング工事が推奨されます。
ALC外壁の特徴(軽量気泡コンクリート)
ALC は、コンクリートの一種で軽量化と断熱性の向上を目的に開発された建材です。主に外壁材や床材として使用され、住宅や商業施設、工場、学校など、さまざまな建物に採用されています。
家の外壁が「パワーボード」とは、旭化成建材が製造・販売している外壁材のブランド名で、軽量かつ高耐久性のあるALCを使用した製品です。
以下のような特徴があります。
『軽量性』
通常のコンクリートに比べて約1/4~1/5程度の軽さがあります。これにより建物の構造負担を軽減し施工の効率化にもつながります。
『断熱性・防音性』
内部に無数の気泡を含む構造のため熱伝導率が低く、断熱性能が高いです。冷暖房効率を向上させ、エネルギーコストの削減にも寄与します。
高密度であることと、気泡構造が音を吸収するため、防音性能にも優れています。周囲の騒音や振動を軽減する役割を果たします。
『防火性』
無機質で不燃性の材料であるため火災に強い特性を持っています。厚み50mmで1時間耐火、100mmで2時間耐火といった性能があり防火地域での使用にも適しています。
【ALC外壁、なぜ塗装が必要か】
ALCは優れた建材ですが表面は吸水性があるため、塗装や防水処理が必要です。
断熱性能や軽量性を高める一方で、水を吸収しやすいという欠点も生じます。
塗装やシーリングによって表面を保護し、雨水や湿気の浸入を防ぐことで、劣化や内部への水分侵入を防ぎます。
未塗装や塗装をせず放置してしまうと、ALCは風雨や紫外線にさらされ表面が劣化しやすくなります。特に吸水による凍結や膨張が起きると、ひび割れや欠損を引き起こす可能性があります。

塗装をすることで外壁を紫外線や風雨から守り、素材自体の寿命を延ばしますが、塗装は一度塗れば永久的に機能するわけではなく、定期的な再塗装が必要です。
再塗装することで保護性能や美観を維持し、ALC外壁自体の耐久性を長持ちさせることができます。
【シーリング工事の重要性】
シーリング工事も重要です、ALCパネル同士の接合部分や外壁と窓枠などの取り合い部分を保護し建物の耐久性を確保するためです。ALC外壁は、パネル単体の性能が高くても接合部の処理が不十分だと弱点となる可能性があります。
ALCパネル自体は防水性がないため、接合部をシーリングでしっかり埋めることで雨水や湿気の侵入を防ぎます。
シーリングは外壁と窓枠、ドア枠などの隙間を埋めることで外気や風の侵入を防ぎます。これにより冷暖房効率が向上し、室内の快適性能を保つ役割をしています。
建物は温度変化や地震などにより微妙に収縮や伸縮、揺れを起こします。ALCパネルの接合部も動くため、柔軟性のあるシーリング材で対応する必要があります。
シーリングは弾力性を持つため、接合部の動きに追随し、ひび割れや隙間の発生を防ぎます。
塗装工事を行う際の注意点
『汚れや旧塗膜の除去』
汚れや旧塗膜が残った状態で塗装すると、塗料が密着せず剥がれやすくなります。高圧洗浄などでしっかり清掃を行います。
『ひび割れ補修(クラック処理)』
ALCはひび割れが発生しやすいため、シーリング材や補修材を使って、事前に補修を行います。
シーリングの確認
シーリングが劣化している場合、塗装前に打ち替えや増し打ちを行い防水性能を確保します。
『施工、塗料』
下塗り
下地と塗料の密着性を高めるため、専用のプライマーを使用します。
ALC用プライマーを選ぶことで吸水性を抑え、塗膜の持ちを向上させます。
中塗り・上塗り
塗料を2回塗りすることで、均一な膜厚を形成し保護や機能などの耐久性を高めます。
内部の水分を外部に逃がす透湿性のある塗料を選ぶことで、内部結露を防ぎます。
ALC外壁塗装は、適切な塗料の選定や入念な下地処理が必要になりますので現地調査が鍵です。
塗装工事を依頼する際には、業者の信頼性、施工実績、料金などをしっかりと確認し複数の業者から見積もりを取って比較することが大切です。地域の評判や口コミも参考にして、納得できる業者を選ぶことをお勧めいたします。
塗装工事は普段かかわることがないので複数の業者から見積もりを取ることが多いです、ただし、業者により施工方法や塗料選定に違いがあり不安に思うこともあるとおもいますが、要望や不明点は確認をし信用できる会社への依頼が大事です。

